ドライニードルとは?

 

海外では一般的な治療法

欧米をはじめとする多くの国では、Dry Needling(ドライニードリング)と呼ばれ、医師や理学療法士などの医療従事者が、筋肉や筋膜の痛みを治療する手段としてドライニードリングを積極的に活用しています。科学的な研究も進んでおり、その効果が評価されています。 


日本の現状

日本では、医師と鍼灸師のみがドライニードルの施術を行うことができますが、施術可能な施術者が限られており、その認知度も高くありません。しかし、近年、日本国内でもその有効性に注目が集まり始め、導入する医療機関や治療院が少しずつ増えつつあります 。

ドライニードルの魅力とは?

1.ピンポイントにアプローチ

痛みの原因となっている深い部分の筋肉や筋膜に、細い鍼で直接働きかけることができます。これにより、マッサージやストレッチでは届きにくい頑固なこりや痛みに効果を発揮することが期待できます。

2.薬に頼らない治療
ブロック注射のように薬液などを注入しないため、薬の副作用が心配な方でも安心して受けることができます。


3.自然治癒力を引き出す
 鍼の刺激によって、筋肉の緊張が緩和され、血行が促進され、体本来の回復力を高める効果が期待できます。

4.多様な症状に対応
慢性的な痛みだけでなく、急性的な筋肉の痛み、スポーツによる障害、関節の動きの改善など、幅広い症状に対応できる可能性があります。

Dry Needlingの歩み

 JFケネディ大統領の主治医ジャネット・トラベルとトリガーポイント 


Dry Needlingの歴史は、20世紀中頃にジャネット・トラベル医師とデビッド・サイモンズ医師の研究に遡ります。
この二人の医師たちの研究と業績が、現代のドライニードリングの基礎を築きました。

トリガーポイントの発見
 ジャネット・トラベル医師は、筋肉にできる硬いしこりであるトリガーポイントが、痛みや関連する症状を引き起こすことを発見しました。


「ウェットニードリング」から「ドライニードリング」へ
当初、トラベル医師はトリガーポイントに局所麻酔薬などを注射する「ウェットニードリング」を行っていましたが、注射針自体にも治療効果があることに気づき、「ドライニードリング」という用語を作り、薬液を使用せず鍼のみを使用する治療技術を確立しました。


トリガーポイントマニュアル
トラベル医師とサイモンズ医師は、トリガーポイントとその関連痛パターンを体系的にまとめた「Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual」を出版し、ドライニードリングの理論と技術を広めました。


カレル・レウィット医師の貢献
1970年代、チェコの医師カレル・レウィットは、注射の効果は薬液ではなく、針による機械的な刺激によるものであることを強調しました。

鍼灸との違い


ドライニードルは、東洋医学の鍼灸とは異なる考え方に基づいています。鍼灸が全身のエネルギーの流れを整えることを目的とするのに対し、ドライニードリングは、西洋医学的な解剖学や生理学の知識に基づいて、痛みの直接的な原因となっている筋肉や筋膜に焦点を当てて治療を行います。

こんな方におすすめ

長年、様々な治療を試しても改善しない痛みがある方


慢性的な肩こりや腰痛にお悩みの方


スポーツによる筋肉の痛みやパフォーマンス低下を感じている方


薬に頼らずに痛みを和らげたい方


根本的な原因にアプローチしたいと考えている方